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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻2号

2003年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

潰瘍形成により特異な形態を示した出血性胃脂肪腫の1例

著者: 斎藤聡1 近藤健司1 浜田勉1 阿部剛1 奥田圭二2 北村成大3 万代恭嗣4 柴崎正幸4

所属機関: 1社会保険中央総合病院内科 2社会保険中央総合病院放射線科 3社会保険中央総合病院病理 4社会保険中央総合病院外科

ページ範囲:P.263 - P.268

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 患者は77歳,女性.心窩部痛と下血を主訴に近医を受診し,胃の異常を指摘され紹介された.X線検査,内視鏡検査にて胃角部の大彎に径3.5cm大の粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)を認めた.SMTの基部口側には深掘れの潰瘍がみられた.貧血の進行があり胃部分切除術が行われた.切除標本の割面ではSMTは脂肪腫であったが,基部の潰瘍形成により大きく侵食された形態を示した.また漿膜面には1.5cmほどの脂肪腫を認めた.固有筋層は中央で途切れ,漿膜側の脂肪腫がその筋層間に入り込むような所見を呈していた.脂肪腫には未熟な部分や悪性部分はみられなかった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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