icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻3号

2003年03月発行

文献概要

今月の症例

広汎なBarrett食道の中にみられた腺癌(sm3癌)の1例

著者: 丸田真也1 北村雅一1 小林拓1 永井賢司1

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会東海病院内科

ページ範囲:P.276 - P.278

文献購入ページに移動
 〔患 者〕73歳,女性.1999年11月下旬より歩行時の動悸,息切れが出現した.12月10日他医を受診し貧血を指摘され,12月17日当院紹介となった.現症は結膜の貧血,脊柱前彎,下腿の浮腫を認めた.血液検査ではRBC216×104/mm3,Hb5.5g/dl,Ht19.6%と小球性低色素性貧血を認めた.腫瘍マーカーはCEA3.1ng/mlであった.

 〔上部消化管内視鏡所見〕 初回検査(1999年12月20日)では門歯列より28~31cmの食道後壁に約1/3周の白苔で被われた汚い陥凹を認め,周囲の隆起が目立った(Fig.1a).陥凹辺縁の生検で腺癌と診断された.PPI投与後の再検査(2000年1月11日)では陥凹底の白苔は概ね消失し,右壁の結節が目立っていた(Fig.1b).門歯列より18~20cmの上部食道の管腔のなかなか広がらない部位に前回確認できなかったsquamo-columnar junction(SCJ)があり(Fig.1c, d),Barrett食道と診断した.門歯列より33cmに開大したesophago-gastric junction(EGJ)があり,それより肛門側は大きな食道裂孔ヘルニアとなっていた(Fig.1e).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?