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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻3号

2003年03月発行

文献概要

今月の主題 食道癌と他臓器重複癌―EMR時代を迎えて 主題

食道癌EMR症例における他臓器重複癌

著者: 門馬久美子1 吉田操2 山田義也3 小澤広3 加藤久人3 加澤玉恵1 雨宮こずえ1 荒川丈夫1 熊谷洋一4 出江洋介4 大橋健一5 船田信顕5

所属機関: 1東京都立駒込病院内視鏡科 2東京都立墨東病院外科 3東京都立駒込病院内科 4東京都立駒込病院外科 5東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.299 - P.306

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 食道粘膜切除220例(m癌196,sm癌24)を対象に他臓器重複癌の検討を行った.他臓器癌合併は81例(37%),男性75例,女性6例であった.初回治療病巣が単発例は61例(75%),多発例は20例(25%)であった.他臓器重複癌症例の食道癌深達度は,m1~2 61例(75%)、m3~sm1 18例(22%),sm2以深2例(3%)であった.他臓器癌合併には,①他臓器癌先行25例,②同時性他臓器癌合併34例,③異時性他臓器癌合併37例があり,合併時期を問わず,食道癌を含め2臓器癌は61例(75%),3臓器癌は18例(22%),4臓器癌は2例(3%)であった.他臓器重複癌としては,胃癌35,頭頸部癌31(下咽頭癌13,中咽頭癌6,喉頭癌5,口腔底癌3,舌癌3,口蓋癌1),大腸癌11,肺癌9,肝臓癌6,前立腺癌4,膵臓癌3,子宮癌2,乳癌,胆囊癌,腎臓癌,膀胱癌,尿管癌各1例であった.異時性他臓器癌を発見時期で分けると,粘膜切除後3年以内が20例(47%),3~5年が13例(30%),5年以降が10例(23%)であった.他臓器重複癌例の死亡例は22例(27%),他病死11例,癌死11例であり,治療拒否の1例が食道癌にて死亡,5例は同時性他臓器癌で死亡,5例は異時性他臓器癌にて死亡した.

参考文献

1)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.内視鏡的粘膜切除による食道粘膜癌の治療成績.病理と臨床 12 : 549-555, 1994
2)門馬久美子,吉田操.早期食道癌の内視鏡的治療.臨牀消化器内科 15 : 798-807, 2000
3)幕内博康,島田英雄,水谷郷一,他.内視鏡的食道粘膜切除術後長期経過例の検討─異時性多発癌を中心に.胃と腸 31 : 1223-1233, 1996
4)吉田操.消化器診療プラクティス15 胃癌・食道癌の内視鏡治療.早期食道癌の内視鏡治療─長期予後.文光堂,pp197-200, 1998
5)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.多発食道癌と粘膜切除.胃と腸 36 : 1039-1047, 2001
6)大森泰,川浦光弘,横山顕.中下咽頭癌の内視鏡診断と治療.日本気管食道科学会会報 53 : 167, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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