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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻3号

2003年03月発行

文献概要

今月の主題 食道癌と他臓器重複癌―EMR時代を迎えて 主題

食道癌手術症例にみられる他臓器重複癌―EMR 症例も含めて

著者: 幕内博康1 島田英雄1 千野修1 田仲曜1 木勢佳史1 西隆之1 姫野信治1 山本荘一郎1 原正1 田島隆行1 武知晶彦1 三朝博仁1

所属機関: 1東海大学医学部消化器外科

ページ範囲:P.317 - P.330

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 食道癌と他臓器重複癌は食道癌1,317例の約30%に認められる.90%以上が二重複癌であったが三重複癌以上の多重複癌が約9%に認められた.相手臓器として頭頸部癌が最も多く約40%,次いで胃癌が26%,大腸癌が11%であった.食道癌外科的根治術例335例では63例18.8%に,EMR例348例では110例31.6%に重複癌が認められた.外科的根治術例で重複癌の頻度が低いのは他臓器重複癌が根治可能のときのみ外科手術が施行されるためと思われた.また,外科的根治術例では同時性重複癌が8.3%であるのに比べ,異時性重複癌が10.4%と多く,食道癌術後に発生したものが多かった.食道癌も治る癌の仲間入りをしたようである.頭頸部癌との重複癌では下咽頭癌36.0%と最も多く,次いで舌癌22.7%,喉頭癌14.0%であった.頭頸部癌のスクリーニングで1,320例から食道癌は165例12.5%発見されているが,同様に下咽頭癌が35.8%,舌癌が23.0%を占めた.頭頸部癌で発見された食道癌の85%が表在癌であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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