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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻3号

2003年03月発行

今月の主題 食道癌と他臓器重複癌―EMR時代を迎えて

主題症例

食道表在癌に同時性に多発早期胃癌を認めた1例

著者: 小田丈二1 細井董三1 岡田利邦1 山村彰彦2 水谷勝1 篠原知明1 大浦通久1 入口陽介1 中村尚志1 益満博1 中井呈子1 山田耕三1

所属機関: 1東京都多摩がん検診センター消化器科 2東京都多摩がんセンター検査科

ページ範囲:P.349 - P.355

文献概要

 患者は74歳,男性.2001年2月に当センターの間接食道・胃同時集検を受診.食道には異常を指摘できなかったが,噴門部後壁に隆起性病変とその下方に広がる淡いバリウム斑を指摘され,要精密検査となった.精密検査の上部消化管内視鏡検査にて,胸部中部食道にヨード不染を示す褪色調の病変を認め,また,噴門部後壁には不整な陥凹性病変と,胃角部小彎にわずかに褪色調の平盤状隆起を認めた.食道は深達度m1の多発病変と診断し,内視鏡的粘膜切除術を選択した.噴門部の病変は表層拡大型のsm癌と術前診断したため,胃全摘術を選択した.全割標本での病理検索にて,8か所に胃癌を認めた.食道癌は多発傾向を有すると同時に,他臓器重複癌の頻度も高いことから,常にその可能性を考慮して検査を行うことの重要性を改めて認識させられた.

参考文献

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12)細井董三.消化管がん診断におけるX線検査の役割.Tama Symposium Journal of Gastroenterology 16 : 5-9, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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