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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻3号

2003年03月発行

文献概要

今月の主題 食道癌と他臓器重複癌―EMR時代を迎えて 主題症例

食道癌・肺癌・小腸GISTを合併した同時性三重複悪性腫瘍の1例

著者: 宗祐人1 長浜孝1 野村秀幸2 松原不二夫2 中西良一3 中原昌作4 豊島里志5 池田圭祐5 岩下明徳6 中間翼7

所属機関: 1新小倉病院消化器科 2新小倉病院内科 3新小倉病院呼吸器外科 4北九州市立医療センター外科 5北九州市立医療センター病理 6福岡大学筑紫病院病理 7中間胃腸科外科医院

ページ範囲:P.357 - P.362

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 症例は65歳,女性.貧血の精査目的にて入院.上部消化管内視鏡検査にて,切歯から30cmの左側後壁に白斑を認め,同部はヨード不染を呈し,0-IIa病変を認めた.EMRが施行され,病理組織学検査では深達度m1の扁平上皮癌であった.また,小腸造影検査にて回腸に約5cmの管外に発育した中心潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認め,手術が施行された.病理組織学検査,免疫組織化学的検査にて,gastrointestinal stromal tumor(GIST), combined smooth muscle-neural type, malignantと診断した.なお,術前の胸部CT検査にて,左肺S4に18mmの腫瘤陰影を認めた.肺癌が疑われ,後日手術が施行された.病理組織学検査にて,高分化乳頭腺癌と診断された.食道癌,肺癌,小腸GISTの同時性三重複悪性腫瘍の報告はなく,まれな症例と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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