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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻3号

2003年03月発行

文献概要

今月の主題 食道癌と他臓器重複癌―EMR時代を迎えて 主題症例

食道m3癌EMR後の胆管細胞癌の1例

著者: 梅垣英次1 江頭由太郎2 田中雅也1 竹内望1 榮樂周子1 野口誉生1 西村馨1 井山峰一1 滝内比呂也1 島本史夫1 平田一郎1 勝健一1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科 2大阪医科大学第2病理

ページ範囲:P.363 - P.368

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 患者は70歳の男性で,食事と無関係の胸焼けを主訴に当院を受診した.胃内視鏡検査で胸部中部食道に凹凸不整な発赤域を認め,同部はヨード染色に不染性であり生検の結果は高分化型扁平上皮癌であった.同病変に対して2チャンネル法による内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行い,最終的な病理組織の結果は,一部m3に浸潤する高分化型扁平上皮癌であった.十分なinformed consentの上に追加治療は行わず,その後の経過観察で特に遺残を疑わせる所見を認めなかった.しかしEMR13か月後より突然右季肋部痛を自覚するようになり,胆管細胞癌が発見された.食道癌の治療成績向上のためには,頭頸部腫瘍ばかりでなく全身の悪性疾患合併を念頭に置いた診断と経過観察が必要であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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