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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 全身性疾患と消化管病変 序説

全身性疾患と消化管病変

著者: 松川正明1

所属機関: 1昭和大学附属豊洲病院消化器科

ページ範囲:P.412 - P.414

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 生体では生命を維持するために,栄養補給は他の機能と同じように重要なものとなる.栄養補給として消化管は食物の消化と吸収に関与する重要な臓器である.また,全身を侵す疾患では全身の一部臓器として消化管も侵される.

 現在,医療の場では専門分野に分化する傾向がある.専門分野に分化しすぎた反省として総合診療科(部)が各大学で設けられている.消化管の分野でも学会などで食道・胃・腸の各部門にに分かれて発表や討議がされる傾向にある.消化管を1つの臓器として討論されることは消化器病学会でもほとんどないと言える.全身性疾患は疾患として1つであるが,多臓器にわたり障害を来すことが特徴である.また,消化管病変が全身疾患の一部であることから,全身性疾患の程度が軽度である場合でも消化管病変から逆に全身性疾患の罹患を疑うことも臨床では必要となる.このことからも全身性疾患にみられる消化管病変についても知識が必要となる.全身性疾患の中で消化管病変(機能的障害も含める)が疑われた場合でも全身状態が不良なために検査を十分にできないことがしばしばある.全身性疾患では多彩な消化管症状に伴うことがあり,このような場合には検査を行い,消化管病変が見い出される.これら疾患に伴う種々病変のX線所見,内視鏡所見を症例報告としてみることがあるが,本企画のように多くの全身性疾患に伴う消化管病変をみることは非常に有益なことである.また,消化管に併発した病変が知られる全身性疾患では,初期の消化管病変の場合には軽微な病変であり,さらに進行した状態では一般的に知られる病変となることが想定される.これら消化管病変の変化と全身性疾患の関連により全身性疾患の原因として遺伝子・関連蛋白質などから病態が解明されることを期待したい.X線・内視鏡検査に加えて必要に応じてCT検査所見・超音波検査所見・病理学的所見などが提示される.そこで,今回の企画では消化管病変も臓器の1つとして全身性疾患を考慮する必要性を強調したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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