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特集 全身性疾患と消化管病変 各論 3.膠原病,免疫・アレルギー性疾患
2)慢性関節リウマチ
著者: 小林広幸1 渕上忠彦1
所属機関: 1松山赤十字病院消化器科
ページ範囲:P.521 - P.528
文献購入ページに移動 慢性関節リウマチ(RA)では,治療薬(主に非ステロイド性抗炎症剤 ; NSAIDs),続発性アミロイド-シス(ア症),血管炎などによる消化管病変を生じることが知られている.NSAIDsでは主に胃粘膜障害(潰瘍)を生じるが,通常の潰瘍と異なり無症状のことが多く幽門前庭部に好発し,浮腫の強い多発性や下掘れのものが多い.ア症の臨床像は,他疾患に合併するア症と同様であるがRAの予後を左右する重篤な合併症であり,早期診断のためには十二指腸生検が有用である.また,RAによる腸病変ではNSAIDsや血管炎などによる虚血が関与しているものと推測されるが,その消化管病変は極めて多彩であり,原因別にみても多くの共通点があるため,その発症にはこれらの要因が互いに関連しあいRAの腸病変を形成しているものと推測される.
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