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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻4号

2003年04月発行

文献概要

特集 全身性疾患と消化管病変 各論 4.血液疾患

1)悪性貧血

著者: 細川治1 清水信繁2 海崎泰治3

所属機関: 1福井県立病院外科 2福井県立病院血液内科 3福井県立病院病理

ページ範囲:P.579 - P.584

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 悪性貧血は,胃底腺の壁細胞や内因子に対する抗体が血液中に見い出され,自己免疫的機序により惹起される病態である.通常,胃で内因子と結合し,回腸で吸収されるビタミンB12の欠乏のためにDNA合成が障害された結果,巨赤芽球性貧血に陥る.X線的にも内視鏡的にも胃底腺領域での高度の粘膜萎縮を認め,生検でも固有の胃底腺はほとんど消失し,偽幽門腺もしくは腸上皮化性に置き換わっている所見を示し,胃液は無酸となる.一方,幽門腺粘膜は比較的よく保たれている.続発性疾患として,胃癌や多発胃カルチノイドの発生が知られている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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