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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻5号

2003年04月発行

今月の主題 胃型早期胃癌の病理学的特徴と臨床像―分化型癌を中心に

主題症例

表層拡大型の胃型高分化型腺癌の1例

著者: 大浦通久1 細井董三1 山村彰彦2 岡田利邦1 山田耕三1 中井呈子1 中村尚志1 入口陽介1 小田丈二1 水谷勝1 益満博1

所属機関: 1東京都多摩がん検診センター消化器科 2東京都多摩がん検診センター検査科

ページ範囲:P.733 - P.738

文献概要

要旨 患者は66歳,男性.胃角から前庭部の大彎を中心とし前後壁に広がる表層拡大型病変.X線検査では,後壁側にみられる微細なバリウム斑を伴うやや粗大な顆粒状変化と,前壁側の粗大な偽足様に広がる透亮像を示した.内視鏡では,腸型にみられる褪色調で菊花状の辺縁を有する平板状の隆起とは異なり,全体に柔らかい印象を持ち,後壁側では淡い発赤調で大小不同のやや粗大な顆粒状隆起の集簇で,境界は不明瞭.前壁側では偽足様の発育を示す暗赤色調の境界明瞭な隆起として認められた.生検で高分化型管状腺癌を認め外科的手術を施行した.病理組織学的には95×50mmの表層拡大型.P Type 0 IIa+I,高異型度の高分化型管状腺癌が主体で乳頭腺癌が混在し,低異型度部分と中分化腺癌の像も認めた.粘液形質はMUC-5AC強陽性,M-GGMC-1,MUC-2,CD10はそれぞれ陰性で胃腺窩上皮型を示し,深達度は粘膜下層に浸潤するsm1癌であった.本症例はいわゆる腸型の分化型癌とは異なり,いくつかの特徴的所見を持つ表層拡大型の胃型分化型癌と考えられた.

参考文献

1)中村恭一.胃癌の構造,2版.医学書院, 1990
2)辻直子,石黒信吾,春日井務.表層拡大型早期胃癌の病理.胃と腸 31 : 573-580, 1996
3)石黒信吾,辻直子,寺尾幸.胃型分化型癌の組織学的特徴.病理と臨床 13 : 10-17, 1995
4)大倉康男,中村恭一,西沢護.胃型分化型癌の生検組織診断とその問題点─特に経過を見た症例を中心に.病理と臨床 13 : 18-26, 1995
5)大倉康男.V.胃癌の診断─病理組織診断,日本臨牀 59 : 219-223, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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