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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻6号

2003年05月発行

文献概要

今月の主題 消化管腫瘍診断におけるX線検査の有用性 主題

胃腫瘍診断におけるX線検査の有用性―外科治療の立場から

著者: 大谷吉秀1 杉野吉則2 久保田哲朗1 古川俊治1 才川義朗1 吉田昌1 熊井浩一郎3 三上修治4 亀山香織4 向井萬起男4 栗林幸夫2 北島政樹1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科 2慶應義塾大学医学部放射線科 3慶應義塾大学医学部内視鏡センター 4慶應義塾大学医学部病理

ページ範囲:P.855 - P.862

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要旨 胃腫瘍診断におけるX線検査の有用性について,具体例を示しながら外科の立場で述べた.内視鏡とX線検査はそれぞれ利点,欠点があり,両者の質の高い画像を得ることで確実な診断と治療を行いうる.X線検査の有用性を分類すると,(1)広範囲に広がる病変の水平方向への浸潤範囲の把握ができる,(2)胃壁深部の質的変化から壁深達度の判断が可能,(3)胃全体の像からみた腫瘍の部位,性状の把握と切除方法,切除線の判断に有用,(4)内視鏡検査と相補的に併存病変の見逃しを補える,(5)術後胃の病変の把握,などが挙げられる.過去には胃癌の外科治療として,ほとんどの症例で幽門側切除術と全摘術のどちらかが行われてきたが,今日ではEMRから縮小手術,標準手術,拡大手術と多くの選択肢があり,これら術式の決定に,胃全体が眺められ,客観性の高いX線検査の必要性は増している.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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