胃と腸38巻6号

2003年05月発行

今月の主題 消化管腫瘍診断におけるX線検査の有用性 主題

胃GISTのX線診断とその有用性

著者： 渕上忠彦¹ 大田恭弘¹ 小林広幸¹ 堺勇二¹ 小田秀也¹ 西山昌宏¹ 西村拓¹ 蔵原晃一¹ 佐藤元紀¹ 王寺裕¹ 大城由美² 岩下明徳³

所属機関： ¹松山赤十字病院消化器科 ²松山赤十字病院病理 ³福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲：P.863 - P.871

要旨　胃の広義のGIST(gastrointestinal stromal tumor)の5例を提示し，GIST診断における，X線検査法の有用性について述べた．GISTは主として固有筋層に主座を置く非上皮性腫瘍であり，粘膜面は潰瘍形成部を除き正常粘膜で覆われている．したがって，粘膜面の所見は癌との鑑別上必要であるが，主眼は壁内・外への発育形式を推測することにある．GISTのX線診断は，種々の体位の二重造影像，圧迫像を組み合わせ，病変を正面像，側面像として描出することにより，腫瘍の形態，表面性状，病変の固さ，管腔内・外への発育形式が推測でき，極めて有用と思われた．

参考文献

1）渕上忠彦．X線検査による早期胃癌の見つけ方に関する研究─とくに仰臥位二重造影像を中心として．福岡医誌 66 : 40-59, 1975

2）渕上忠彦，桑野恭行，岩下明徳，他．微小胃癌の診断学的問題点─主としてX線の立場から．胃と腸 23 : 741-756, 1988

3）渕上忠彦，野見山祐次，平川雅彦，他．微小胃癌の臨床診断の限界─X線・内視鏡検査併用の立場から．胃と腸 30 : 1249-1260, 1995

4）渕上忠彦，小田秀也，竹村聡．早期胃癌診断の基本─X線の立場から．胃と腸 35 : 13-23, 2000

5）渕上忠彦，岩下明徳，大重要人，他．小腸非上皮性腫瘍の分類と画像診断─従来の筋原性腫瘍とGISTとの関連．胃と腸 36 : 914-922, 2001

6）Rosai J. Stromal tumors. In Ackerman's Surgical Pathology, 8th ed. Mosby, St Ruis, Chicago, pp 645-647, 1996