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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻7号

2003年06月発行

文献概要

今月の主題 消化管の炎症性疾患診断におけるX線検査の有用性 主題

上部消化管の炎症性疾患におけるX線検査の有用性―腫瘍性疾患との鑑別を中心として

著者: 小林広幸1 渕上忠彦1 堺勇二1 小田秀也1 大田恭弘1 蔵原晃一1 西山昌宏1 西村拓1 佐藤元紀1 王寺裕1

所属機関: 1松山赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.973 - P.989

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要旨 胃・十二指腸の炎症性疾患診断におけるX線検査の有用性について,代表的な胃のびまん性疾患と十二指腸の狭窄性疾患を呈示し,X線と内視鏡検査を比較しながら鑑別診断の要点を述べた.胃のびまん性疾患の鑑別診断では病変の伸展性と粘膜面の性状が重要である.X線検査は全体像を立体的なイメージとして容易に捉えることができ有用であったが,びまん性病変の局所に限局した異常所見の拾い上げは内視鏡がより有用であった.このため,鑑別診断困難な胃のびまん性疾患では,両検査を適宜組み合わせることが重要と思われた.一方,十二指腸の狭窄性疾患では,狭窄の部位・長さ,局所的な変形の程度・型,および腸管外所見などが鑑別診断上重要で,X線が内視鏡より有用なことが多かった.ただし,同一疾患でもそのX線像は炎症の時期や程度により多彩なため,内視鏡も含めた他の画像所見や臨床像も加味して診断を行うことが必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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