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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻7号

2003年06月発行

文献概要

今月の主題 消化管の炎症性疾患診断におけるX線検査の有用性 主題

小腸の炎症性疾患診断におけるX線検査の有用性―小腸X線検査のポイント

著者: 八尾恒良1 櫻井俊弘1 高木靖寛1 八尾建史1 松井敏幸1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.990 - P.1004

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要旨 小腸の諸X線検査に共通した基本手技は,①小腸索を分離して描出すること,②小腸索を低緊張状態にして圧迫,または二重造影法を行うことにある.したがって,体位変換と呼吸運動を利用して圧迫分離すること,遮断剤を適切に用いることが重要な手技となる.本稿では経口法,経管法など諸小腸X線検査法の手技を詳述し,炎症性腸疾患のX線検査では,①各検査法の利点,弱点を熟知した上で目的に応じた検査法を選択する必要があること,②瘻孔の存在が予想される場合は,抗生物質を混入した造影剤を投与する必要があることなどを述べた.さらに病態の解明には微細病変の診断を正確に行う必要があり,そのためには Peyer 板の診断の確立が不可欠であることを症例を提示して説明した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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