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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻7号

2003年06月発行

文献概要

今月の主題 消化管の炎症性疾患診断におけるX線検査の有用性 主題

大腸の炎症性疾患に対する注腸X線診断の有用性―潰瘍性大腸炎とCrohn病を中心に

著者: 小林清典1 勝又伴栄1 吉澤繁1 佐田美和1 五十嵐正広1 西元寺克禮1

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科

ページ範囲:P.1017 - P.1027

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要旨 潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)の大腸病変診断における,注腸X線検査の有用性について検討した.UCの画像診断は,大腸内視鏡検査で行う場合が多い.しかし活動期症例に対して,無処置で充盈法を主体に行う注腸X線検査は,比較的低侵襲で簡便に腸病変の重症度を評価できる.CDに対しては,確定診断に重要な病変の分布や配列,腸病変に伴う変形所見などを客観的に評価できる.またCDの約半数の症例にみられる腸管合併症の診断,特に高度の狭窄や瘻孔の診断には注腸X線検査が不可欠である.なお瘻孔のうち大部分は狭窄部に認められることより,狭窄例では瘻孔への進展を注腸X線検査で監視する必要がある.また初回検査で腸管合併症を認めなくても,腸管全周に及ぶ高度の敷石像を有する症例では,狭窄や瘻孔に進展する危険性が高いことから,注腸X線検査により経過観察を行う必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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