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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻7号

2003年06月発行

文献概要

今月の主題 消化管の炎症性疾患診断におけるX線検査の有用性 主題

大腸の炎症性腸疾患におけるX線検査の有用性―内視鏡像と比較して

著者: 村野実之1 平田一郎1 年名謙1 新田昌稔1 村野直子1 森田英次郎1 安本真悟1 鹿嶽佳紀1 西川貴士1 浜本順博1 中川憲1 勝健一1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科

ページ範囲:P.1028 - P.1038

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要旨 炎症性腸疾患は,その病型や病期により病変の肉眼的形態は著しく変化する.そのため,正確な診断には,臨床症状や臨床検査データを詳細に検討把握した上でX線,内視鏡検査に当たらなければならない.今回,大腸の炎症性腸疾患におけるX線検査の有用性,役割,重要性を内視鏡検査と比較し検討した.潰瘍性大腸炎の診断および病勢評価においては,内視鏡検査が極めて有用であったが,X線検査も補助的な検査法として必要であると考えられた.一方,Crohn病においては,病変の分布,偏側性の変化や狭窄より口側の所見などを捉えるのにX線検査の有用性・重要性は言うまでもない.炎症性腸疾患の診断および重症度決定に際しては,両検査の長所と短所をよく熟知した上で腸管病変への侵襲を最小限に止め,より多くの有用な情報が得られるように両検査の使い分けが望まれる.

参考文献

1)樋渡信夫,渡邊浩光,桂島良子,他.大腸の炎症性疾患の診断に注腸X線検査は必要か─X線を重視する立場から:大腸炎症性疾患の診断・経過観察における検査法の選択.胃と腸 33 : 755-764, 1998
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3)八尾恒良.腸疾患のX線検査.綜合臨床 32 : 1932-1936, 1983
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7)北野厚生,大川清孝,押谷伸英,他.大腸の炎症性疾患の診断に注腸X線検査は必要か─内視鏡(直視画像)を重視する立場から.胃と腸 33 : 772-780, 1998
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11)Yoshimura K, Hirata I, Maemura K, et al. Radiation enteritis : a rare complication of the transverse colon in uterine cancer. Intern Med 39 : 1060-1063, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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