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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻7号

2003年06月発行

文献概要

今月の主題 消化管の炎症性疾患診断におけるX線検査の有用性 主題

炎症性大腸疾患のX線所見―鑑別診断

著者: 松川正明1 幸田隆彦1 千葉俊哉1 山本栄篤1 中町正俊1 関川高志1 久保定徳1 山本亘1 上林正治1 遠藤済1

所属機関: 1昭和大学附属豊洲病院消化器科

ページ範囲:P.1039 - P.1046

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要旨 大腸の炎症性疾患に対してX線検査は罹患部位と病変の経過を客観的に描出できる利点がある.X線検査による炎症性疾患の鑑別診断を典型的な所見でみる割合からみた.炎症性疾患で典型的な所見は約85%にみられる.炎症性疾患では残りの15%が非典型的な所見として描出され,鑑別診断で問題となる.今回,潰瘍性大腸炎の非典型的所見として区域性の病変で腸管の変形と粘膜病変(潰瘍またはポリープ)が目立った.Crohn病では粘膜病変の程度が軽度で腸壁の伸展不良が前面にでた病変ではCrohn病の診断が困難であった.炎症性疾患で確定診断できない場合には病変の経過を追うことが診断の手助けとなる.

参考文献

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6)渡辺英伸,味岡洋一,太田玉紀,他.病理からみた分類困難な炎症性腸疾患.胃と腸 24 : 1105-1117, 1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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