文献詳細
今月の主題 経過観察からみた大腸癌の発育・進展sm癌を中心に
序説
文献概要
大腸腫瘍の謎
大腸腫瘍の発育進展の“謎”を解明せずして大腸の真の診断と治療はありえない.ただ見つかるものを診断するだけではなく何を見つけなければならないか,さらに見つかった病変のどこを見なければならないのか,形態で注目すべきポイントを認識しているかどうか.
1997年に狩谷ら1)が大腸IIc型早期癌を発見して以来,IIc型早期癌を含め多くの表面型癌2)3)が発見されてきた.大腸癌はポリープ,腺腫から発生するというpolyp-cancer sequence,adenoma-carcinoma sequenceは世界のcommon senseである.それに対し本邦においては表面型早期癌,特にIIc型に代表される陥凹型早期癌(IIc,IIc+IIa,IIa+IIc)やNPG(non-polypoid growth)癌が注目されde novo発生4)も同等に支持されてきた.そして本誌「胃と腸」では「表面型大腸癌の発育と経過」(30巻第2号,1995年),「大腸腫瘍の自然史」(31巻第13号,1996年)と経過例を取り上げている.
大腸腫瘍の発育進展の“謎”を解明せずして大腸の真の診断と治療はありえない.ただ見つかるものを診断するだけではなく何を見つけなければならないか,さらに見つかった病変のどこを見なければならないのか,形態で注目すべきポイントを認識しているかどうか.
1997年に狩谷ら1)が大腸IIc型早期癌を発見して以来,IIc型早期癌を含め多くの表面型癌2)3)が発見されてきた.大腸癌はポリープ,腺腫から発生するというpolyp-cancer sequence,adenoma-carcinoma sequenceは世界のcommon senseである.それに対し本邦においては表面型早期癌,特にIIc型に代表される陥凹型早期癌(IIc,IIc+IIa,IIa+IIc)やNPG(non-polypoid growth)癌が注目されde novo発生4)も同等に支持されてきた.そして本誌「胃と腸」では「表面型大腸癌の発育と経過」(30巻第2号,1995年),「大腸腫瘍の自然史」(31巻第13号,1996年)と経過例を取り上げている.
参考文献
1)狩谷淳,水野幸一,間山素行,他.IIc型早期大腸癌が認められた家族性大腸ポリポージスの1例.胃と腸 12 : 1359-1364, 1977
2)武藤徹一郎,上谷潤二郎,沢田俊夫,他.大腸の小さな扁平隆起性病変(small“flat elevation”)の臨床病理学的検討.胃と腸 19 : 1359-1364, 1984
3)工藤進英.大腸内視鏡治療,医学書院,2000
4)Shimoda T, Ikegami M, Fujisaki J, et al. Early colorectal carcinoma with special reference to its development de novo. Cancer 64 : 1138-1146, 1989
5)牛尾恭輔,志真泰夫,後藤裕夫,他.Retrospectiveにみた大腸癌の発育・進展─X線像による遡及的検討.胃と腸 20 : 843-858, 1985
6)松井敏幸,津田純郎,大重要人,他.X線学的遡及例よりみた大腸癌の発育進展─早期癌より進行癌への進展をめぐって.早期大腸癌 2 : 273-281, 1998
7)工藤進英,武藤輝一,山本睦生,他.大腸の腺腫と早期癌の形態推移.胃と腸 20 : 903-910, 1985
8)八尾恒良,加藤洋,工藤進英,他.(座談会)大腸腫瘍の自然史を語る.胃と腸 31 : 1654-1671, 1996
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