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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻9号

2003年08月発行

文献概要

今月の主題 直腸肛門部病変の鑑別診断 主題

直腸肛門部の内視鏡・EUS診断

著者: 清水誠治1 富岡秀夫1 渡辺元樹1 大野崇1 梅原康湖1 辻本隆1 吉岡毅1 上尾太郎1 本庶元1 光本保英1 森敬弘1 平山哲也1 鹿田潮1 伊藤正1 木本邦彦1 多田正大2

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科 2多田消化器クリニック

ページ範囲:P.1245 - P.1262

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要旨 直腸肛門部は内視鏡の挿入が容易である一方で観察盲点が多い.下部直腸から肛門管の十分な観察には直腸内反転が有用である.解剖学的にみて,この領域は上皮の構成が複雑であり,様々な周囲臓器が存在し,血管支配も他の領域と異なっている.さらに直腸肛門部は排便機能を司る領域であるのみならず,性行為による感染源の侵入経路,薬剤の投与経路でもある.これらの理由で直腸肛門部は大腸の他の領域と比べて疾患発生の上で特異な場を形成している.したがって多彩な疾患構成を熟知した上で検査を行う必要がある.EUSを用いることによって腸管壁の層構造や壁外の情報を得ることができる.腫瘍性疾患においては病変の局在,組織像の推定に,炎症性疾患においては炎症の程度や波及範囲を知るとともに病理学的変化を理解する上で有用である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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