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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻9号

2003年08月発行

文献概要

今月の主題 直腸肛門部病変の鑑別診断 主題症例

有茎性の直腸悪性黒色腫の1例

著者: 後藤裕夫1 富松英人1 野澤麻枝1 加藤淳一郎1 星博昭1 下川邦泰2 山脇義晴3 高木應俊45

所属機関: 1岐阜大学医学部放射線・腫瘍・画像医学分野 2岐阜大学医学部臨床検査医学 3澤田病院放射線科 4澤田病院外科 5現:恵那ファミリークリニック

ページ範囲:P.1332 - P.1338

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要旨 症例は73歳,男性.内痔核として近医にて治療中,下血を契機に肛門縁より5cmの位置に肛門より脱出を繰り返す有茎性のポリープを発見された.二度の生検の後,内視鏡的治療の目的で紹介された.初回の生検では直腸潰瘍,第2回は低分化腺癌と診断されていたが,特徴的な内視鏡的色調から悪性黒色腫を疑った.HMB-45,S-100の免疫染色が陽性であり,悪性黒色腫と診断した.CT,MRIで直腸傍リンパ節,左閉鎖リンパ節の転移を認め,MRIのT1強調像で高信号を呈し,メラニン含有を示唆する所見であった.Miles' operationが施行され,深達度mp,リンパ管侵襲ly3の悪性黒色腫で第2群リンパ節転移陽性であった.肛門部の腫瘍性疾患の診療には悪性黒色腫を考慮することが重要と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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