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今月の主題 最新の早期胃癌EMR―切開・剥離法 主題
切開・剥離法の工夫―私はこうしている―三角ナイフを用いた切開・剥離法
著者: 井上晴洋1 佐藤嘉高1 加澤玉恵1 菅谷聡1 薄井信介1 里館均1 工藤進英1
所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院消化器センター
ページ範囲:P.53 - P.56
文献購入ページに移動早期癌に対する治療としての内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)はわが国において確立された1)~3).
その後,チューブや透明キャップなどの道具を用いたいわゆる吸引法4)5)が開発された.1つは食道におけるEEMRチューブ法4)であり,その後,透明キャップを用いる方法5)が開発された.これらの方法の登場で,EMRは非常に簡便かつ容易な方法となった.
しかし,以上の方法は,基本的にスネアを用いて行うポリペクトミーの延長線上にあった.唯一,平尾ら2)のERHSEでは,スネアを使用せず,針状メスを用いて現在の切開・剥離法と同様の概念を提唱したが,手技的な難易度が高いことから,当時なかなか一般に普及するには至らなかった.1990年後半になって,切開・剥離法の新しい手法として細川・小野らによって,ITナイフ法が発表された6).小野らの功績によって,技術的にも極めて広範囲の粘膜切除術が可能となった.一方,Gotodaら7)によって,EMRの適応拡大の可能性が臨床病理学的に検討された.その後,フックナイフ8),フレックスナイフ9)などが提案された.一方,山本ら10)はヒアルロン酸ナトリウムを使用することで,粘膜下層の膨隆を長時間保つことができるようになり,さらに安全な切開・剥離法が可能となってきた.
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