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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻1号

2004年01月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

深達度診断を誤診した大腸腺腫の1例

著者: 尾石弥生1 帆足俊男1 池田圭祐1 古賀有季1 間野正衛2 菊池陽介3 八尾恒良3 尾石樹泰4 原岡誠司4 岩下明徳4

所属機関: 1福岡県済生会二日市病院胃腸科 2福岡県済生会二日市病院外科 3福岡大学筑紫病院消化器科 4福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.101 - P.106

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要旨 患者は57歳,女性.腹痛・嘔吐を主訴に当院に搬送された.上部消化管内視鏡検査では,胃体部大彎に広範囲のIIcを認め印環細胞癌であった.大腸内視鏡検査では,S状結腸に約25mmの隆起性病変を認め中心に陥凹様所見を有していたが,十分な空気量を注入すると,弧の硬化像などの伸展不良所見は認めなかった.同時に行った生検ではGroup 4と診断された.大腸X線検査は側面像の撮影はできなかったが,空気量の増加により腫瘍は容易に伸展した.しかし,拡大内視鏡で中心部は不整なV 型pitであり,超音波内視鏡では筋層へ浸潤しているように思えた.手術の結果管状絨毛腺腫であった.本症例は組み合わせ診断を誤って判断したため,深達度を深く読影しすぎた誤診例である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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