胃と腸39巻10号

2004年09月発行

今月の主題 大腸sm癌の深達度診断―垂直浸潤1,000μm 主題

病理組織学的因子からみた大腸sm癌のリンパ節転移危険因子―大腸癌研究会sm癌取り扱いプロジェクト研究委員会の解析から

著者： 喜多嶋和晃¹² 藤盛孝博² 藤井茂彦² 熊本俊秀¹ 渡辺英伸³ 武藤徹一郎⁴ 長廻紘⁵

所属機関： ¹大分大学医学部第3内科 ²独協医科大学病理学（人体分子） ³新潟大学名誉教授 ⁴癌研究会附属病院 ⁵東京女子医科大学附属消化器センター消化器内科学

ページ範囲：P.1329 - P.1337

要旨　大腸癌研究会sm癌取り扱いプロジェクト研究委員会では，多施設から集積された腸管切除大腸sm癌865例を対象に，sm浸潤度判定を含めた臨床病理学的因子とリンパ節転移の関係を解析した．その中で，浸潤度判定については，粘膜筋板からのsm浸潤距離による絶対分類で表現したが，粘膜筋板が想定不可能な場合は，非有茎型sm癌では病変の表層から測定し，有茎型sm癌の場合は基準線を設定したうえで測定した．その結果，非有茎型sm癌では，sm浸潤距離1,000μm未満，有茎型sm癌では，リンパ管侵襲陰性である頭部限局（head invasion）例にはリンパ節転移を認めなかった．この条件を満たす大腸sm癌は，局所切除術により根治が可能であることが示唆された．

参考文献

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