胃と腸39巻10号

2004年09月発行

今月の主題 大腸sm癌の深達度診断―垂直浸潤1,000μm

主題

大腸sm癌の深達度診断―垂直浸潤距離1,000μmに対するX線学的伸展不良所見の診断精度の検討

著者： 津田純郎¹ 小林広幸² 菊池陽介¹ 長浜孝¹ 頼岡誠³ 尾石樹泰³ 和田陽子¹ 平井郁仁¹ 宗祐人¹ 帆足俊男⁴ 松井敏幸¹ 岩下明徳⁵ 渕上忠彦² 八尾恒良¹

所属機関： ¹福岡大学筑紫病院消化器科 ²松山赤十字病院消化器科 ³佐田医院 ⁴帆足内科消化器科医院 ⁵福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲：P.1339 - P.1349

文献概要

要旨　注腸X線検査で大腸粘膜下層（sm）への相対的な深い癌浸潤（相対分類のsm_2,3に相当）を認めた病変に特異的に出現するX線学的伸展不良所見が，垂直浸潤距離1,000μmを臨床的に区別できる所見になりうるか否かを知るために垂直浸潤距離1,000μmに対する伸展不良所見の診断精度を検討した．結果，垂直浸潤距離1,000μm以上の深い浸潤を診断する際のX線学的伸展不良所見の診断精度は，隆起型：感度77％，特異度100％，陽性的中度100％，表面型：感度79％，特異度100％，陽性的中度100％だった．X線学的伸展不良所見は，垂直浸潤距離1,000μm以上の深い浸潤のsm癌を診断できる臨床的指標になると考えられた．そして，X線学的伸展不良所見で垂直浸潤距離1,000μm以上の深い浸潤を診断する際と相対分類のsm_2,3を診断する際の診断精度に違いがあるか否かを知るために，両診断精度を比較検討した．結果，隆起型，表面型ともに差を認めなかった．X線学的伸展不良所見を指標として垂直浸潤距離1,000μm以上の深い浸潤を診断する場合，従来どおり相対分類を指標とした診断を行えばよいと思われた．

参考文献

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