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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻10号

2004年09月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌の深達度診断―垂直浸潤1,000μm 主題症例

通常内視鏡観察で深達度診断を誤診しEUSで正診しえたIIa型S状結腸癌の1例

著者: 安本真悟1 浜本順博1 平田一郎1 阿部洋介1 井上拓也1 泉屋隆1 森田英次郎1 村野直子1 村野実之1 年名謙1 西川貴士1 江頭由太郎2 勝健一1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科 2大阪医科大学第1病理

ページ範囲:P.1407 - P.1412

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要旨 症例は51歳,男性.主訴は下痢,便潜血反応陽性であった.大腸内視鏡検査にてS状結腸に管腔の約2/3周を占めるIIa型病変を認めた.通常内視鏡検査では病変中央に周囲よりやや丈の高い部分が存在したが,腫瘍の表面構造はほぼ保たれており,明らかなsm深部浸潤を疑う所見は認めなかった.注腸X線検査でも明らかな浸潤所見はみられなかった.しかし,超音波内視鏡検査にて病変中央部のやや隆起した部分に一致して腫瘍最深部が第4層に接しており深達度sm3と診断した.腹腔鏡下腸切除術を施行し,病理組織結果は高分化型腺癌,深達度sm3(垂直浸潤距離3,000μm),ly1,v0,n(-)であった.本例は通常内視鏡観察でsm深部浸潤を疑う所見が乏しく,sm浅層までの病変と考えられたが,超音波内視鏡にて深達度sm3と確診しえた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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