文献詳細
今月の症例
健常成人に発症したヘルペス食道炎の1例
著者: 金政秀俊1 宮川昌巳1 仁丹利行1 松本匡史1 時田和彦1 梶田芳弘1 中川裕隆2 光藤章二3 岡上武3
所属機関: 1公立南丹病院消化器内科 2中川医院 3京都府立医科大学大学院消化器病態制御学
ページ範囲:P.1436 - P.1437
文献概要
〔食道内視鏡所見〕 下部食道に小類円形や,広い地図状の浅い潰瘍の多発を認めた(Fig. 1a, b).食道胃粘膜接合部直上には深い打ち抜き様潰瘍を認めた(Fig. 1c).
〔生検病理組織学的所見〕 潰瘍辺縁からの生検組織標本では炎症性滲出物の中に,特徴あるすりガラス状の腫大した核をもつ変性上皮細胞や多核の変性上皮細胞を認めた(Fig. 2a).これらの変性上皮細胞の核は抗HSV1型抗体による免疫染色で陽性を示した(Fig. 2b).
〔入院時血液検査所見〕 生化学検査ではCRP1.4mg/dlと軽度の炎症反応上昇がみられたほか,異常を認めなかった.血清ウイルス抗体検査(EIA)ではHSV1型IgM3.81,IgG78.3と両者ともに陽性であった.
以上よりHSV1型によるヘルペス食道炎と診断した.aciclovirを投与し治癒した.
参考文献
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