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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻11号

2004年10月発行

文献概要

今月の主題 胃生検診断の意義 Group分類を考える 症例検討

胃の Group分類困難例の実際―標本を鏡検した後の感想

著者: 滝澤登一郎1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科分子病態検査学

ページ範囲:P.1509 - P.1509

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 呈示された49症例の鏡検を終えて,Group分類,Vienna分類,それに病理診断の対応の難しさを改めて感じている.私は,日常の病理診断においてGroup分類は使用しない立場であるが,Vienna分類と比較すると,現行のGroup分類のほうがはるかに使いやすい.理由は明らかで,Group IIIという診断が幅広く使用できるからである.Group IIIの使用法が正しいか否かの問題はおくとして,腫瘍性か反応性か判断の難しい病変,腺腫,癌を疑う病変のいずれもがGroup IIIの枠の中で診断されているのである.したがって,生検の病理診断としては,Group IIIという診断だけでは不十分で,Group IIIの内容を併記する必要があることは言うまでもない.これに対してVienna分類では,分類記号と診断内容をより厳密に対応させようとした結果,例えば,癌を疑うが確定できないという診断や,良性悪性境界病変に対応するカテゴリーが存在しない.これに対して,癌の診断は必要以上に細分化されている.例えば,カテゴリー4の第2項,non-invasive carcinomaは,carcinoma in situを意味していると考えられるが,通常の胃の粘膜内癌で,既存の構造を保ったまま増殖している癌は,ほとんど存在しない.カテゴリー5の第1項,intramucosal carcinoma は intramucosal carcinoma with invasionに相当するが,このような細分化は無意味に思われる.むしろ,intramucosal carcinoma;low-grade atypiaとintramucosal carcinoma;high-grade atypiaに分類したほうが理解しやすい.これらの問題点を踏まえてVienna分類を修正すると,次のような提案が可能になる(Table 1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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