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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻12号

2004年11月発行

文献概要

今月の主題 消化管の画像診断―21世紀の展開 主題

新しい画像検査・診断法と今後の展開―胃X線検査における平面検出器(FPD)を搭載したCアーム式装置の有用性

著者: 杉野吉則1 鈴木和代1 大須賀香絵1 栗林幸夫1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部放射線診断科

ページ範囲:P.1572 - P.1582

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要旨 平面検出器をCアーム式装置に搭載して斜入撮影法を行ったところ,従来から消化管X線検査が抱えていた弱点の多くが解決できることがわかった.そこで,胃X線検査について斜入撮影法の有用性を臨床的に検討した.斜入撮影は角度が強くなるとSIDが大きくなり,空間分解能が低下するが,30°以内であれば許容範囲と考えられた.胃スクリーニング検査で斜入撮影法を使用した頻度をみると,5°以上の角度で撮影したものは全画像の54.8%であった.胃の精密検査を行った147病変中,斜入撮影法が診断に寄与したのは58病変(39%)であった.平面検出器をCアーム式装置に搭載して斜入撮影法を行うことによって,これまでには撮影できなかったような体位の画像や,熟練した検査技術がないと撮れないような良好な画像が簡単に得られるようになった.また患者への負担も大幅に軽減できるので,今後,消化管X線診断に新しい展開をもたらすものと考えられる.

参考文献

1)杉野吉則,熊倉賢二,今井裕,他.早期胃癌X線診断における装置・造影剤および検査法の進歩.胃と腸 38 : 11-20, 2003
2)杉野吉則,鈴木和代,大須賀香絵,他.消化管における直接変換式FPDの臨床的検討.INNERVISION 18 : 68-70, 2003
3)杉野吉則,鈴木和代,大須賀香絵,他.Conventional film-screen systemからdigital radiographyへの動向─特に平面検出器の現状と可能性について.画像診断 24 : 377-387, 2004
4)杉野吉則,今井裕,熊倉賢二,他.早期胃癌X線診断におけるデジタル・ラジオグラフィの有用性.胃と腸 30 : 47-57, 1995
5)Sugino Y, Imai Y, Fujisawa H, et al. Clinical usefulness of digital radiography in the gastrointestinal tract : efficacy of magnification method. J Digit Imaging 8(Suppl 1): 84 88, 1995
6)杉野吉則,今井裕,布袋伸一,他.400万画素消化管用DR装置の臨床評価と消化管微細病変の描出能.映像情報 32 : 165-168, 2000
7)マニュアル研究会(代表 熊倉賢二,橋本健二郎).消化管診断用X線装置のための散乱X線除去用グリッドの基礎.金原出版,pp 27-29, 1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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