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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻13号

2004年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌の内視鏡治療後の長期経過 主題

大腸sm癌内視鏡治療後の再発・転移の時期と再発様式について

著者: 井上雄志1 手塚徹1 篠原知明1 斉田真1 伊藤真史1 市場洋1 長廻紘1 大井至1 高崎健1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.1719 - P.1729

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要旨 大腸sm癌内視鏡治療後再発を認めた7例(局所再発およびリンパ節再発4例,血行性転移再発3例)を検討した.(1)局所再発およびリンパ節再発4例:再発様式は局所再発のみが2例,リンパ節再発のみが1例,おのおのの重複が1例で,転移時期は4~48か月(平均20.3か月)であった.局所再発の2例に再度内視鏡摘除術,リンパ節再発の1例に経仙骨的腫瘍切除術,おのおのが重複した1例にリンパ節郭清を含めた腸管切除術を行い,いずれも治癒的切除が行いえた.(2)血行性転移再発3例:再発様式は肝再発のみが2例,肝・肺・骨多発転移が1例で,転移時期は6~60か月(平均25.3か月)であった.3例中2例は内視鏡摘除後追加腸切除を行っており,肝再発のみの2例に治癒的肝切除を行いえた.内視鏡治療後大腸sm癌の経過観察は厳重に行い,局所・リンパ節再発の診断には大腸内視鏡検査による局所の観察,特に瘢痕部の粘膜下腫瘍様所見に注意すべきで,分割摘除例はより厳重な経過観察が必要である.血行性転移再発の予測は困難であることが少なくないが,血行性転移再発の存在を念頭に置き,定期的に血中CEAの測定あるいは腹部超音波検査などの検索を行うべきと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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