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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻13号

2004年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌の内視鏡治療後の長期経過 主題

内視鏡治療のみで経過観察可能な大腸sm癌の条件―臨床経過からの検証

著者: 山内健義1 長谷川博俊1 西堀英樹1 石井良幸1 落合大樹1 北島政樹1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.1745 - P.1750

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要旨 教室におけるEMR施行症例を検証し,大腸sm癌のEMR後の治療方針につき検討した.対象184例のうち,リンパ節転移の有無を確認しえた98例中7例(7.1%)にリンパ節転移を認め,2例(1.1%)に異時性肝転移を認めた.sm1ではリンパ節転移はなく,sm浸潤が高度のものでリンパ節転移の危険性が高くなる傾向が認められた.その他のリンパ節転移の危険因子に関しては特徴的なものは見い出せなかったが,深達度sm1では脈管(リンパ管・静脈管)侵襲が陽性であっても,追加切除が不要である可能性が示唆された.一方,高度sm浸潤(sm2~3)症例に関しては,リンパ節郭清を伴う追加腸切除が必要と考えられた.追加腸切除の際には原則として全大腸を適応とした腹腔鏡下腸切除術を施行しており,良好な成績を得ている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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