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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻13号

2004年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌の内視鏡治療後の長期経過 主題

大腸sm癌の内視鏡治療後の再発・転移に対する早期発見のためのフォローアップ法

著者: 榎本泰三1 稲次直樹1 吉川周作1 高村寿雄1 増田勉1 内田秀樹1 大野隆1 園尾広志1 山岡健太郎1 山口貴也1 野々村昭孝2 榎本泰典2

所属機関: 1健生会奈良大腸肛門病センター 2奈良県立医科大学病理診断講座

ページ範囲:P.1765 - P.1772

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要旨 内視鏡的治療を行った大腸sm癌133例のフォローアップの実際を明らかにし,より安全で有効なフォローアップ法の確立に向けて検討した.フォローアップ法は患者に予定検査時期の案内を郵送,sm癌の場合は3~6か月後に局所を観察,その後は1年目のTCSを行い,異常なければclean colonとして2~3年に1回のTCSあるいはSCSを伴った注腸X線検査を行う.遠隔転移に対しては腫瘍マーカー,腹部超音波検査を年2回,3年間施行する.初回に内視鏡的治療を行った133例のうち局所再発と遠隔転移は各々1例(0.75%)に認めた.この間のフォローアップで発見された異時性腫瘍性病変は44例(33.1%)で,このうち癌病変はm癌の2例(1.5%)であった.これらはすべて内視鏡的治療が可能な時期に発見できた.現フォローアップ法は概ね有効と考えている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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