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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻3号

2004年03月発行

文献概要

今月の症例

S状結腸憩室症に伴って発見された大腸sm癌の1例

著者: 藤澤貴史1 坂口一彦1 大西裕1 小池隆史1 竹田彰彦1 来住稔1 堀松高博1 前田光雄1 井上英士2 西上隆之3

所属機関: 1石川島播磨重工業健康保険組合播磨病院内科 2井上内科医院 3兵庫医科大学第2病理

ページ範囲:P.256 - P.258

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 〔患 者〕71歳,男性.主訴は軟便および腹部膨満感.高血圧などで井上内科で加療中,1998年4月より軟便,腹部膨満感が出現し,免疫学的便潜血反応も陽性であったため,当科で同年5月12日大腸内視鏡検査を施行した.S状結腸に群発する大腸憩室を認めた.スコープ挿入に難渋し,患者が強く疼痛を訴えたため,細径電子スコープに切り替えて全結腸を観察したが深部結腸に異常を認めなかった.直腸に扁平隆起を認めたのでEMRを施行したが,偶発症を起こしたため保存的に加療後,経過観察のため透視・内視鏡検査を行っていた.

 〔大腸内視鏡所見〕1998年11月16日に細径電子スコープにて施行した全大腸内視鏡検査でS状結腸憩室の間に,深いひだに隠れて表面型腫瘍を発見した(Fig. 1a).腫瘍はスコープの挿入時には発見できず,抜去時にスコープが病変の肛門側のひだを押し下げるときのみ観察されるが,スコープのコントロールが極めて困難で,病変に色素をかけるのがやっとであった.腫瘍は軽度発赤調を呈する表面隆起型で,色素内視鏡では辺縁にわずかに正常粘膜を認め,表面は微細顆粒状で一部に不整陥凹を認めた(Fig. 1b, c).全体がなだらかに隆起していることから,sm癌と診断した.

参考文献

1)大川信彦,佐竹儀治.大腸憩室の病態.消化器内視鏡 5 : 1455-1461, 1993
2)安田正俊,井上博和,小林博之,他.大腸憩室と大腸癌の合併例の検討.日本大腸肛門病会誌 46 : 390-393, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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