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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻3号

2004年03月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

マッシュルーム様の形態を呈した直腸カルチノイドの1例

著者: 後藤充1 泉信一1 野村昌史1 三井慎也1 吉田正史1 渡辺晴司1 吉田暁正1 林毅1 高橋邦幸1 潟沼朗生1 辻邦彦1 松永隆裕1 姜貞憲1 桜井康雄1 真口宏介1 篠原敏也2

所属機関: 1手稲渓仁会病院消化器病センター 2手稲渓仁会病院病理部

ページ範囲:P.331 - P.335

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要旨 症例は60歳,男性.主訴は左頸部腫瘤.消化管の精査を目的に施行した大腸内視鏡検査で,下部直腸に大きさ20mmの黄色調を呈し表面に血管透見像を伴う有茎性病変と大きさ3mmの同性状の小隆起性病変を認め,多発する直腸カルチノイドと診断した.左頸部腫瘤は生検でschwannomaと診断された.進行直腸癌に準じた根治手術の適応と判断し,リンパ節郭清を含めた手術の必要性を十分に説明したが,患者および家族の希望により内視鏡的切除術を施行した.病理組織学的には2病変ともカルチノイド腫瘍であり,いずれも深達度smで脈管侵襲を認めなかった.有茎性を呈した直腸カルチノイドは比較的まれであり画像所見を中心に報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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