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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻3号

2004年03月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

inverted growth patternを示した陥凹型大腸癌の1例

著者: 鯉沼広治1 冨樫一智1 小西文雄2 岡田真樹1 永井秀雄1 斉藤建3 柴崎淳4

所属機関: 1自治医科大学消化器一般外科 2自治医科大学大宮医療センター外科 3自治医科大学病理 4柴崎外科医院

ページ範囲:P.356 - P.360

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要旨 患者は51歳,男性.便潜血反応陽性.大腸内視鏡検査にて,S状結腸に深い陥凹を有する約10mmのIIa+IIc型病変が認められた.拡大観察では,陥凹面はIIILおよびIIIs型pitで占められ,生検部位でVI pitが認められた.粘膜内病変と判断し内視鏡的粘膜切除を施行した.病理学的には高度異型腺腫を伴う高分化型腺癌で,陥凹部で粘膜下層側へ深く侵入する像が認められた.腫瘍腺管は粘膜筋板を押し下げるように発育し,先進部においても部分的に粘膜筋板が認められた.先進部周囲の間質は粘膜内のものと同様であり,desmoplastic reactionを伴っていなかった.以上より,本病変はinverted growthにより深い陥凹を示したが,本質的にはそのほとんどが粘膜内の病変と考えられた.

参考文献

1)帆足俊男,津田純郎,松井敏幸,他.内視鏡的切除適応拡大のための大腸sm癌の深達度診断─通常内視鏡検査の立場から.胃と腸 34 : 731-736, 1999
2)平田一郎,栗栖義賢,浜本順博,他.内視鏡的切除適応拡大のための大腸sm癌深達度診断の検討─内視鏡を中心に.胃と腸 34 : 737-746, 1999
3)為我井芳郎,濱野恭一,小松原登.肉眼型による深達度診断(通常内視鏡)(3)表面隆起型─a. IIa+IIcを中心に.早期大腸癌 2 : 401-410, 1998
4)冨樫一智,小西文雄,柏木宏,他.大腸のinverted hyperplastic polypの3例.胃と腸 34 : 935-940, 1999
5)味岡洋一,渡辺英伸,横山純二,他.sm癌診断における粘膜筋板の判定法(3)癌のsm浸潤に伴う粘膜筋板の変化と大腸sm癌の浸潤度判定.早期大腸癌 4 : 145-154, 2000
6)池上雅博,下田忠和,小牧稔之,他.大腸sm癌の肉眼的特徴とその診断.胃と腸 29 : 1237-1247, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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