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Coffee Break
IIc内の“島状粘膜残存”と“聖域”―私はこう考える
著者: 高木國夫1
所属機関: 1林外科病院
ページ範囲:P.383 - P.386
文献購入ページに移動IIc内で,多くは中心部に非癌粘膜が存在するのはどうしてか,1950年代には不明だった.私も1959年,早期胃癌の病理を検討した際に,潰瘍を伴った症例で潰瘍辺縁に再生粘膜を80.6%(29/36)に認めていた1)が,この再生粘膜が潰瘍の瘢痕化により,島状再生粘膜―すなわち“聖域”になることは,当時,悪性サイクルの考えがまだ検討されていなかった時期で,理解できなかった.胃潰瘍の良性サイクルに準じて,IIc内の胃潰瘍の再燃,瘢痕が悪性サイクルとして臨床的に検討されはじめた時期に,村上忠重先生が1966年「潰瘍瘢痕癌中心部に存在する非癌性再生腺腔について」2)を報告し,IIc内の非癌粘膜が胃潰瘍瘢痕部の再生粘膜によるものであって,当時,ベトナム戦争でアメリカ空軍による北爆で,首都ハノイが聖域として爆撃を免れていたことに関連して“聖域”と名付けられた.村上先生のご指摘とユニークな命名に深く感銘を受けた思い出がある3).
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