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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻5号

2004年04月発行

文献概要

今月の主題 大腸腫瘍に対する拡大内視鏡観察―V型pit pattern診断の問題点 座談会

大腸腫瘍に対する拡大内視鏡診断の実状と問題点

著者: 多田正大1 工藤進英2 平田一郎3 田中信治4 林俊壱5 八尾隆史6 鶴田修7 味岡洋一8

所属機関: 1多田消化器クリニック 2昭和大学横浜市北部病院消化器センター 3大阪医科大学第2内科 4広島大学光学医療診療部 5林俊壱クリニック 6九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 7久留米大学医学部第2内科 8新潟大学大学院分子・診断病理学分野

ページ範囲:P.793 - P.810

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 鶴田(司会) 本日はお忙しい中お集まりいただき,ありがとうございます.それでは早速座談会を始めたいと思います.大腸腫瘍に対するpit pattern診断の基礎は小坂知一郎先生,西沢護先生,そして今日ご出席の多田先生たちのご努力により築かれ,その後,工藤先生たちのご尽力により全国的に普及し,現在では臨床的に必須のものとなっています.現在,一般的に用いられているpit pattern分類は工藤らの分類で,すなわちI型は円形で正常粘膜のpit,II型は星芒状で過形成のpit,IIIs型は正常より小型の管状類円形pit,IIIL型はI型よりも大きい大型の管状類円形pit,IV型は溝紋状,樹枝状,脳回転状pitでこれらのIIIs,IIIL,IV型pitは腺腫に多いpitであり,V型は不整,無構造のpitで,癌に認められるpitである,ということはほとんど共通認識だと思います.しかしV型の認識で癌の診断ができても,治療法を考慮した場合,さらに粘膜内にとどまる癌か,粘膜下層に浸潤した癌かを見分ける必要があります.そこでV型pitの亜分類,すなわちV型のI,irregularと,V型のN,non-structureとに二分することにより,深達度診断を行う努力が各施設で行われていますが,その定義と実際の読みに違いがあるようです.この座談会ではV型pit patternの亜分類は必要か,必要ならばその定義は一致しているのか,定義は同じでも実際の判定が違うのではないか,という疑問に対し各先生のご意見をうかがい,さらには実際に拡大内視鏡の写真を読影していただきながら,味岡先生と私,鶴田の司会で大腸腫瘍に対する拡大内視鏡の実状と問題点を明らかにしたいと思っています.

 味岡(司会) 工藤先生が分類されたI型からIV型までは定義や実際の判定には大きなぶれはないだろうと思います.またI型からIV型までは良悪性は別として粘膜内病変ということでコンセンサスはある程度得られていると考えてよいと思いますが,それでよろしければ,今問題になっているV型に話のfocusを置きたいと思います.はじめに,その点についてはご出席の先生方いかがでしょうか.

参考文献

1)Cronkhite LW Jr, Canada WJ. Generalized gastrointestinal polyposis, an unusual syndrome of polyposis, pigmentation, alopecia and onychotrophia. N Engl J Med 252 : 1011-1015, 1955
2)今村哲理, 栃原正博. 安保智典, 他. Cronkhite-Canada 症候群.胃と腸35 : 361-366, 2000
3)渡辺英伸,味岡洋一,西倉健,他.消化管ポリポーシスの病理.胃と腸35 : 293-300, 2000
4)後藤明彦.特殊な消化管ポリープ,ポリポーシス―臨床と本邦症例の集計; Cronkhite-Canada 症候群.日本臨牀49 : 2955-2960, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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