icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻5号

2004年04月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

低分化腺癌を主体にして亜有茎性隆起を形成した1型進行胃癌の1例

著者: 森山友章15 福田好世1 谷口英人1 三上肇1 真鍋良二1 浪尾博志2 本多啓介3 大森昌子4

所属機関: 1総合病院岡山協立病院内科 2総合病院岡山協立病院外科 3川崎医科大学内科学(食道・胃腸科) 4岡山大学大学院医歯学総合研究科病態探求医学 5現:高砂西部病院内科

ページ範囲:P.827 - P.832

文献購入ページに移動
要旨 症例は53歳,男性.検診目的の上部消化管内視鏡検査で,胃体上部前壁に大きさ2cmの隆起性病変を指摘された.病変は亜有茎性で多結節状隆起を呈し,基部辺縁に発赤した平坦領域と浅い陥凹を伴っていた.隆起部の生検診断は低分化腺癌であった.胃X線検査では,病変は2個の粗大結節から構成され,側面変形が認められた.超音波内視鏡検査では,腫瘍の中央で第3層が断裂していたことから,深達度を粘膜下層の深層(sm3)と推測したが,固有筋層(mp)への浸潤も疑われた.以上の所見から進行胃癌の可能性を考慮し,胃全摘術を行った.病理組織学的には,低分化腺癌を主体とし,印環細胞癌を混在する深達度mpの1型胃癌であった.自験例が示すように,隆起型胃癌の内視鏡診断では,隆起形態とともに基部辺縁の陥凹や平坦病変に着目し,未分化型癌の可能性を考慮する必要があると思われた.

参考文献

1)草野敏臣,吉田茂昭,河村譲,他.未分化系腺癌を呈した隆起性早期胃癌の内視鏡像について.Progress of Digestive Endoscopy 15 : 86-89, 1979
2)安西春幸,高木国夫,太田博俊,他.未分化型腺癌の組織像を示す隆起型早期胃癌の臨床病理学的検討.日消外会誌 21 : 2094-2098, 1988
3)小山田裕一,竹腰隆男,藤井彰,他.未分化型隆起性胃癌の臨床的検討.Progress of Digestive Endoscopy 30 : 153-158, 1987
4)中井久雄,大井田正人,山田至人,他.未分化型隆起性早期胃癌の臨床的検討.Progress of Digestive Endoscopy 40 : 195-199, 1992
5)安達洋祐,森正樹,遠城寺宗知.Ⅰ型早期胃低分化腺癌の臨床病理学的観察.胃と腸 23 : 577-581, 1988
6)高見元敞,花田正人,木村正治,他.病巣の中心部にポリープ状隆起を生じた胃の印環細胞癌の1例.胃と腸 19 : 1139-1146, 1984
7)永井盛太,岡田喜克,町支秀樹,他.巨大隆起型を呈した胃印環細胞癌の1例.日臨外会誌 62 : 121-124, 2001
8)竹下公矢,中嶋昭,森重夫,他.組織型別にみた早期胃癌の内視鏡的特徴.Gastroenterol Endosc 24 : 440-446, 1982
9)牛尾恭輔,後藤裕夫,村松幸男,他.消化管癌のX線診断における側面像の意義―二重造影像による深達度診断.胃と腸 21 : 27-41, 1986
10)安田貢,鳥巣隆資,青木利佳,他.有茎性に隆起した早期胃低分化型腺癌の1例.Gastroenterol Endosc 44 : 1162-1167, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら