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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻6号

2004年05月発行

文献概要

今月の主題 深達度診断を迷わせる食道表在癌―その原因と画像の特徴 主題

食道表在癌の深達度診断を誤った要因―内視鏡の立場から

著者: 門馬久美子1 吉田操2 小澤広3 木村和恵1 遠藤純子1 荒川丈夫1 江川直人2 川田研郎4 大田正穂4 出江洋介4 河内洋5 船田信顕5 葉梨智子6

所属機関: 1都立駒込病院内視鏡科 2都立墨東病院外科 3都立駒込病院内科 4都立駒込病院外科 5都立駒込病院病理科 6東海大学付属東京病院外科

ページ範囲:P.889 - P.900

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要旨 食道表在癌において,深達度診断は治療法を選択する上で最も重要な要素である.色素を併用した内視鏡検査および拡大内視鏡観察を行っても,食道表在癌の深達度診断では,15%に誤診を認めた.浅読み症例は39例65%,深読み症例は21例35%であった.浅読み症例の大半は0-IIcであったが,深読み症例には,0-I,0-IIa,0-IIIの各病型が含まれていた.浅く診断した要因としては,①微小浸潤,②導管や食道腺の浸潤で示されるような食道壁の正常構造を破壊しない浸潤,③腺扁平上皮癌のように表面から浸潤部分の組織型が予測できない場合,④癌巣の表面を再生上皮が覆い表面性状が読影できない場合が挙げられた.逆に,深く診断した要因としては,①乳頭状増殖を示す0-Iplや,②上方発育型を示す白色調の0-IIaは,病変の形態から判断し深く診断していた.③固有筋層への圧排型の発育例は浸潤との鑑別が困難なために深く診断していた.また,非常にまれな場合として,④粘膜下腫瘍に合併した食道癌は,病巣内に隆起を伴う癌として扱われる可能性が高く,粘膜下腫瘍の存在診断が困難なため,深達度を深く診断していた.

参考文献

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2)門馬久美子,吉田操,榊信廣,他.内視鏡による食道表在癌の深達度診断の精度.胃と腸 27 : 157-173, 1992
3)幕内博康,町村貴郎,水谷郷一,他.内視鏡による食道表在癌の深達度診断の精度.胃と腸 27 : 175-184, 1992
4)吉田操,門馬久美子,榊信廣,他.食道粘膜癌の色素内視鏡所見.消化器内視鏡 2 : 469-473, 1990
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8)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.食道m3・sm1癌の質的・量的内視鏡診断.胃と腸 37 : 33-46, 2002
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10)大森泰,幕内博康,熊谷義也.食道ヨード不染帯の経過観察.胃と腸 29 : 911-919, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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