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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻6号

2004年05月発行

文献概要

今月の主題 深達度診断を迷わせる食道表在癌―その原因と画像の特徴 主題

食道表在癌の深達度診断を誤った要因―病理の立場からの検討

著者: 鬼島宏1 加藤優子1 島村和男1 長村義之1 島田英雄2 幕内博康2

所属機関: 1東海大学医学部病理診断学 2東海大学医学部外科

ページ範囲:P.915 - P.926

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要旨 深達度が粘膜下層までにとどまる食道表在癌においては,治療前の内視鏡的深達度診断がEMR適応の有無を決定する重要な因子となるため,肉眼型に応じた深達度診断が報告されている.1990年代は,症例の蓄積も十分とは言いがたく,現在に比べれば内視鏡の技術・画像が不十分であったために,微小な表面性状の変化をとらえることができずに,内視鏡的深達度診断は,概して“浅読み”傾向にあった.最近は,症例経験の蓄積と内視鏡技術の進歩により,より細かな食道表在癌の表面性状が読み取れるようになったが,微小な表面性状の変化をもって,深部浸潤と判断してしまう“深読み”の内視鏡的深達度診断もみられる.

参考文献

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2)島田英雄,幕内博康,千野修,他.食道sm癌に対する食道温存治療の可能性―内視鏡の立場からの検討.胃と腸 37 : 1273-1284, 2002
3)幕内博康,島田英雄,千野修,他.食道m3・sm1癌の治療成績―EMRと手術の長期予後.胃と腸 37 : 53-63, 2002
4)幕内博康,島田英雄,千野修,他.多発食道癌とEMR.胃と腸 36 : 1027-1038, 2001
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11)小山恒男,宮田佳典,平澤大,他.食道粘膜の拡大観察.胃と腸 38 : 1625-1628, 2003
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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