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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻6号

2004年05月発行

文献概要

今月の主題 深達度診断を迷わせる食道表在癌―その原因と画像の特徴 座談会

食道表在癌―深達度診断のピットフォール

著者: 大森泰1 神津照雄2 下田忠和3 細井董三4 八尾隆史5 小山恒男6 吉田操7

所属機関: 1川崎市立川崎病院消化器科・外科 2千葉大学医学部附属病院光学医療診療部 3国立がんセンター中央病院臨床検査部 4霞ケ浦成人病研究事業団 5九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 6佐久総合病院胃腸科 7都立墨東病院外科

ページ範囲:P.927 - P.953

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 小山(司会) 先生方,お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます.「食道表在癌―深達度診断のピットフォール」の座談会を開始させていただきます.最初に,吉田先生に現時点での問題点をご解説いただいた上で,6例の症例を先生方に見ていただき,討論して行きたいと思います.よろしくお願いいたします.

 吉田(司会) イントロダクションとして,今までの流れを整理してお話しし,その後の検討につなげたいと思います.

 深達度診断,特に浅い癌の深達度診断は大変進歩し,一時期われわれが手探りしながらいろいろと苦労して診断システムをつくってきたころを考えると,隔世の感がします.しかし,現在でも限界があり,深部浸潤を読み切れない症例,浅い癌を深く読んでしまった症例があります.深部浸潤を読み切れなかった症例の病理学的な特徴はいくつかあり,従来から苦い思いをかみしめてきたものです.形態の変化の出にくい浸潤様式がその特徴で(Table1),非常に狭い範囲の浸潤であったり,周囲の組織を壊さず,小さな癌胞巣でばらばらと入っていくとか,定義の問題もありますが,最深部が脈管侵襲で形成されている症例の場合は,なかなか形態に出にくいというものがあります.それから浅いものを深く読んでしまった症例は,迷わせる形態学的変化があるわけでして,それが瘢痕であったり,リンパ球の浸潤であったり,ときには再生上皮がそれに関与してくる.今まで,こういうものが間違いやすいということがわかっていますが,たくさん経験してきて,非常にいい画像をそろえたところでもう一度整理して,何に注意すべきなのかについて今回は議論していただきたいと思っております.よろしくお願いいたします.

 小山 それでは早速症例を見せていただきたいと思います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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