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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻7号

2004年06月発行

文献概要

Coffee Break

アジアの学会から

著者: 武藤徹一郎1

所属機関: 1癌研究所附属病院

ページ範囲:P.1020 - P.1020

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 第9回Asian Federation Coloproctology(2003)がソウルで開催されるので,ちょっと,顔を出してみる気になった.会長のDr. J-G Parkとは旧知の仲であるので表敬訪問のつもりであったが,急遽moderatorの役を与えられるは,会長招宴では厚生大臣と同じテーブルに席を用意されるはで,かえって気を使わせてしまい申し訳ないことであった.学会そのものは日本と韓国の優れた報告が多く,アジア各国からの発表もあってAsian Federationらしくなってきたと感じられた.実は,Park会長から是非にと勧められた2つの施設に大いに感銘を受けたのでこの小文を書く気になった.

 Dr. Parkはソウル国立大学外科教授で大腸直腸外科が専門であるが,有名なSomsungからの出資で設立した大学所属のCancer Institute所長を兼ね,分子生物学的研究を行っている.広い研究室にはリクルートされた韓国人の米国留学帰りが多数働いており,大規模なcell bankも有している.彼は新空港との中間にある韓国国立がんセンターの総長も兼ねており,その病院も見学ルートに入っていた.2001年6月に開院した病院は500床で,完全なセンター方式の組織の下にMultidisciplinary Medicineが行われているのに驚嘆した.すなわち,Colorectal Oncology Centerでは病棟でも外来でも医師,看護師,放射線診断・治療医,内視鏡医,化療医が1セットになって医療に当たる.完全なmultidisciplinary approachが可能なわけで,胃・肺をはじめすべての臓器がこのシステムの下に運用されている.全メンバーの写真が病棟入口に掲げられており,Dr. ParkはColorectal Centerのトップでもある.この組織はDr. Parkの強い意志とリーダーシップの結果できあがったものであり,恐らく世界でも類を見ないであろう.外来には患者用にがんに関するパネルと,各臓器癌のパネルが整然と並び,内容の統一性ばかりか各臓器癌のフォルマリン標本まで陳列されているのには驚いた.PET-CTも既に2台有しており,重粒子線照射施設も建設中であった.Screening centerにも力を入れており,高級感のある内装で看護師の服装も洗練されたものであった.“癌退治100万人グループ”のキャンペーン活動のパンフレットは簡潔にして要を得ており,研究,禁煙,検診の3つをcore valueにすえていた.ちなみに,建物内のみならず全施設内は禁煙である.外来の会計には銀行員が座り,病院関係者は一切お金に手を触れることがないほどoutsourcingが徹底していた.new system,new machine,new memberをモットーとする韓国国立がんセンターは,朝7時から夜11時まで働くDr. Parkの下で目ざましい飛躍を遂げるに違いない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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