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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻7号

2004年06月発行

文献概要

今月の主題 胃癌術後の残胃癌 主題

残胃癌のESD(endoscopic submucosal dissection)

著者: 小山恒男1 宮田佳典1 友利彰寿1 堀田欣一1 米湊健1 森田周子1 笹原弘子1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.1035 - P.1042

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要旨 endoscopic submucosal dissection(ESD)を施行した残胃癌7例9病変を対象とし,同時期にESDを施行した通常胃癌345例と対比した.残胃癌の腫瘍長径中央値は16mm(5~30mm)であり,通常胃癌の長径中央値16mm(3~145mm)と同値であった.一括切除率は100%であり,通常胃癌での一括切除率97%と比較し有意差はなかった.これら9病変の残胃癌はすべて切除断端陰性であった.残胃癌は狭くスコープの操作性が悪いため通常胃に比してESDは難しかった.特に縫合線上に癌が存在した場合は粘膜下層の線維化が高度で剥離に難渋した.また,剥離中にペッツが露出した場合はペッツへの通電を避ける配慮が必要であった.しかし,直視下に粘膜下層を観察しながら慎重に剥離することで,残胃癌に対してもESDを安全に施行することができた.縫合線上の残胃癌は粘膜下層に強い線維化を伴うため,従来のEMR法では切除が困難であったが,ESDでは安全,確実な切除が可能であった.

参考文献

1)小山恒男.Endoscopic Surgery切開・剥離EMR-Hookナイフを中心に.日本メディカルセンター, 2003
2)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン.金原出版, 2001
3)片井均,衛藤剛,羽藤慎二,他.EMRか?外科手術か?(高齢者早期胃癌)―外科手術後の予後からみて.胃と腸 39 : 23-26, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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