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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻7号

2004年06月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

術後27年で発症した乳癌の大腸転移の1例

著者: 阿部剛1 近藤健司1 浜田勉1 岡本欣也2 佐原力三郎2 鵜沼清仁3 田中靖3 奥田圭二3 北村成大4 斎藤聡5 東馨6 八巻悟郎6

所属機関: 1社会保険中央総合病院内科 2社会保険中央総合病院大腸肛門病センター 3社会保険中央総合病院放射線部 4病理部 5東邦大学大橋病院消化器内科 6こころとからだの元氣プラザ消化器科

ページ範囲:P.1063 - P.1069

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要旨 症例は67歳の女性で40歳時に右乳癌の手術歴がある.検診で便潜血反応陽性を指摘され注腸検査を施行したところS状結腸と下行結腸に片側性の壁変形像を認めた.大腸内視鏡検査ではS状結腸,下行結腸ともに発赤したなだらかな膨隆を認め,粘膜表面は顆粒状を呈していた.生検ではどちらの部位からも腺癌が検出された.全身検索にて他に異常を認めず左半結腸切除を施行した.病理組織学的に粘膜下層から漿膜まで全層性に増生する低分化型腺癌がみられ一部は粘膜表面まで浸潤しており転移性大腸癌の所見であった.漿膜面にも癌細胞が散在しており癌性腹膜炎を併発した転移性大腸癌であり,乳癌の転移と診断した.乳癌の消化管転移例は少なく術後25年以上経過した例は極めてまれであると考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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