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文献詳細

雑誌文献

胃と腸39巻9号

2004年08月発行

文献概要

今月の主題 Barrett食道癌―表在癌の境界・深達度診断 主題

Barrett食道癌のX線診断

著者: 今井裕1 長島礼奈1 川田秀一1 那須政司1 島田英雄2 千野修2 西隆之2 釼持孝弘2 山本壮一郎2 幕内博康2 金井崇3 鈴木孝良3 峯徹哉3 加藤優子4

所属機関: 1東海大学医学部画像診断学 2東海大学医学部消化器外科学 3東海大学医学部消化器内科学 4東海大学医学部病理診断学

ページ範囲:P.1234 - P.1242

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要旨 Barrett食道癌と診断され,切除し病理学的検討がなされた18例20病変の検討では,m癌は3病変,sm癌は9病変で,この12病変の内訳は0-I型4病変,0-IIa型3病変,0-IIc型2病変,0-Ipl+IIc型1病変で,残り2病変は潰瘍型を示し,全体として隆起型を示す腫瘍が多い傾向にあった.一方,陥凹を有する表在型を呈した腫瘍の中には,mp癌の2病変が含まれていた.腫瘍の組織型は,20病変の中で高分化腺癌12病変,中分化腺癌7病変,乳頭腺癌1病変であった.またBarrett上皮の長さと腫瘍の位置に関しては,一定の傾向はみられなかった.X線検査においては,Barrett上皮は二重造影像により網目状,あるいは顆粒状粘膜として描出され,通常の造影剤の嚥下による撮影にて腫瘍の表面の性状も詳細に描出することができた.さらに本症では造影剤を胃から食道へ逆流させて撮影する方法も有効で,特に隆起性病変の輪郭ならびに表面の性状を明瞭に示すことができた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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