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今月の主題 大彎側の病変 綜説
大彎側の病変―レントゲンの立場から
著者: 熊倉賢二1 丸山雅一1 染矢内記1 高田亮1 中野浩1 伊藤誠1 高木国夫2 池田靖洋3
所属機関: 1癌研究会付属病院内科 2癌研究会付属病院外科 3癌研究会付属病院病理学科
ページ範囲:P.5 - P.21
文献購入ページに移動現在,胃体部大彎側の陥凹性病変をまともに取り上げることは極めて因難である.それというのも,第1に,陥凹性病変というと,わが国では,まず早期胃癌Ⅱcを考えるであろうが,胃体部大彎側のⅡcはまだごく少数しか発見されていないからである.それかといって,他の部位のⅡcや胃体部大彎側の進行癌や潰瘍で代理できるものでもない.第2に,大彎側の良性潰瘍の頻度がごく少ないからである.文献を調べてみても,大彎側の良性潰瘍のX線診断について,かなり多くの報告はあるが,ほとんどが症例報告の形をとっており,そして,ついでに良性・悪性の鑑別診断にふれるといった程度のものばかりである.このさいの大彎側潰瘍は,あくまで胃全体の大彎側潰瘍であって,胃角部や幽門部のものも含まれている.胃体部大彎側と限定した文献は見当らない,なお,大彎側の潰瘍性病変についての文献は,その大部分が英語または仏語であるのも1つの特徴といえよう.
私どもの最近の症例を集めてみても,胃体部大彎側と限定すると,潰瘍にしても,陥凹性の早期癌(ⅡcやⅡc+Ⅲなど)にしても,症例が少なすぎて,とても総括的な議論はできそうにない.このようなことを前提にして,できるだけ多くの文献を調べ,また,私どもの経験例にもとづき,胃体部大彎側の陥凹性病変のX線診断について検討することにする.
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