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文献詳細

雑誌文献

胃と腸4巻1号

1969年01月発行

文献概要

技術解説

大彎のX線

著者: 伊藤俊夫1 白壁彦夫2 早川尚男2

所属機関: 1千葉大学医学部第1内科 2順天堂大学医学部内科

ページ範囲:P.111 - P.120

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Ⅰ.はじめに

 大彎側のX線診断に関する文献は,きわめて少ない.その理由の1つは,大彎側の病変,特に陥凹性病変の頻度が少ないこと,いま1つは,大彎側の病変は悪性が多く,ことに陥凹性病変のほとんどは悪性であり,良性か悪性かの鑑別を,そのつど厳密に行なうまでもないといった観念が支配的であったためと思われる.

 しかし,近年になって,Palmer,Bockusらが大彎側良性潰瘍がまれではないという数値を,常岡が大彎側良性潰瘍のX線,内視鏡所見を,さらに村上らが,大彎側病変に関する詳細な報告を発表し,改めて,大彎側のX線診断上の諸問題を検討する意義や必要性がでてきたわけである.

 大彎側のX線診断の上での問題点を,文献や,われわれの経験から,X線撮影の面,X線読影の面からあげてみると,次のような項目になる.

 X線撮影の面では

 1)確実に病変が拾いあげられる撮影法

 2)病変の性状をよく現わすような撮影法

 X線読影の面では

 1)病変を確実に拾いあげるための読影

 2)正確に質的診断するための読影

は,実際上どのようにしたらよいか,ということになる.

 そこでわれわれは,以上の諸事項について,実際の症例をとり出して検討してみた.

 なお,大彎側病変は,頻度の上では隆起性病変が多いが,隆起性病変については,X線診断の面では,隆起性病変一般の診断理論をそのままあてはめることができ,大彎側病変であるからといった特異性は少ない.そこで今回は,大彎にあるために,良性,悪性の鑑別がより困難である陥凹性病変をとりあげてみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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