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文献詳細

雑誌文献

胃と腸4巻10号

1969年10月発行

文献概要

今月の主題 早期癌とその周辺 研究

胃粘膜におけるPhosphorylase反応とその診断的意義の検討

著者: 赤木正信1 本山洋1 白石幸明1 三隅厚信1 勝久文雄1 桑野麗雅1 桑原元雄1 麻生啓輔1 池田恒紀1 池田正光1 久野則明1

所属機関: 1熊本大学医学部吉永外科

ページ範囲:P.1317 - P.1324

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Ⅰ.はじめに

 胃粘膜の組織酵素化学的研究に関する文献は少ないものではない.それは胃の器質的ないし機能的病変の本質を追求する1つの手段として応用され,さらにはまた,臨床診断への応用を目的とした立場からの努力もなされている.しかし,特に後者の立揚には,組織化学的方法が臨床診断に応用し得るかどうかという唯一つの目的のためのみに追求されるきらいがあり,その酵素の正常細胞ないし癌細胞における代謝上の意義ないし特性についての考察が等閑にされがちであるように思われる.したがって,代謝機構における癌特異性の酵素が明らかにされていない現状で,むやみに酵素化学的方法を応用したとしても,少なからぬ例外に遭遇した場合の意義づけに困却し,その後の研究の進展が停滞されるのではないかと考えられる.

 このような意味では,武内9)~12)14)16)がその代謝特性について充分な基礎的研究を行ない,腫瘍細胞における意義づけを行なっているPhosphorylase反応(以下Phr.反応と略す)を,臨床的見地から応用することは理論的解析が可能な点で意義があり,その成績については,既にたびたび報告してきたが2),ここではその総括的成績にっいて胃粘膜のPhosphorylase反応を検討して述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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