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文献概要
今月の主題 十二指腸の精密診断 綜説
十二指腸潰瘍のX線像と切除標本の比較
著者: 八尾恒良12
所属機関: 1九州大学医学部第二内科 2九州大学医学部癌研病理
ページ範囲:P.1355 - P.1372
文献購入ページに移動はじめに
胃のX線診断の進歩は,X線写真と切除標本との比較がその基盤となっている.すなわち,両者の所見を対比してみて,自らの診断技術の拙さを知り,病変の描出や読影能力の向上に努める.この繰返しで,病変の描出や,読影力は進歩し,対比症例のつみ重ねから,X線所見の整理・分類が行なわれ,所見の客観性が確立される.
胃のX線診断を志す人にとって,胃の切除標本は,最上の師であり,鞭である.
一方,十二指腸潰瘍は,胃疾患に劣らぬほど数多い疾患であるのに,そのX線診断は,遅々として進歩しない.原因は,種々であろうが,最大の理由は,師であり鞭である切除標本が,極めて得難いことにあろう.
筆者も,過去2年半,十二指腸球部精検法として,遮断剤静注法によるHypotonic duodenographyを行ない,そのX線像と対比可能な手術標本の蒐集を心懸けているが,今日までに,わずか20例の標本を得たにすぎない.未だ所見の整理,分類を行なえる段階ではないが,症例の供覧と共に,簡単に,従来の十二指腸球部潰瘍のX線診断学と比較してみたい.
胃のX線診断の進歩は,X線写真と切除標本との比較がその基盤となっている.すなわち,両者の所見を対比してみて,自らの診断技術の拙さを知り,病変の描出や読影能力の向上に努める.この繰返しで,病変の描出や,読影力は進歩し,対比症例のつみ重ねから,X線所見の整理・分類が行なわれ,所見の客観性が確立される.
胃のX線診断を志す人にとって,胃の切除標本は,最上の師であり,鞭である.
一方,十二指腸潰瘍は,胃疾患に劣らぬほど数多い疾患であるのに,そのX線診断は,遅々として進歩しない.原因は,種々であろうが,最大の理由は,師であり鞭である切除標本が,極めて得難いことにあろう.
筆者も,過去2年半,十二指腸球部精検法として,遮断剤静注法によるHypotonic duodenographyを行ない,そのX線像と対比可能な手術標本の蒐集を心懸けているが,今日までに,わずか20例の標本を得たにすぎない.未だ所見の整理,分類を行なえる段階ではないが,症例の供覧と共に,簡単に,従来の十二指腸球部潰瘍のX線診断学と比較してみたい.
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