文献詳細
今月の主題 十二指腸の精密診断
研究
十二指腸ファイバースコピーの研究―第2報:各種ファイバーガストロスコープによる検討
著者: 高木国夫1 池田靖洋1 中川安房1 熊倉賢二2 丸山雅一2 染矢内記2 高田亮2 中野浩2
所属機関: 1癌研究会附属病院外科 2癌研究会附属病院内科
ページ範囲:P.1431 - P.1438
文献概要
グラスファイバーを用いた胃内視鏡の驚異的進歩によって,初めて十二指腸の内視鏡が可能になってきた.欧米では,1966年Watson15)がHirschowsitzのgastroduodenal fiberscopeを用いてVater氏乳頭を観察以来,1967年にRiderら6)のfiber duodenoscopeの試作,1968年にはMcCuneら4)はVater氏乳頭のEndoscopic Cannulationによる膵管の造影を発表した.一方,わが国でも,1963年来,田中14)らにより,胃カメラを用いた十二指腸球部の観察が精力的に研究された.1968年には,十二指腸の内視鏡に関する研究が相次いで発表された.1968年4月の外科学会に,東大手術部高木ら11)による報告があり,著者らは6月7)および7月8)に生検用ファイバーガストロスコープを用いた十二指腸ファイバースコピーを発表した.1968年10月には,第6回内視鏡秋季大会に高木ら(東大)13)および著者ら9)は,さらにそれぞれの方法を詳細に報告した.1968年12月に,第6回日本内視鏡学会関東地方会で「十二指腸の内視鏡」について,シンポジウム2)が開催されて,わが国における十二指腸の内視鏡的研究の現況が総括された.このように,欧米と共に,わが国においても十二指腸に対する内視鏡的研究が相次いで報告されて,今後の大きな研究テーマになってきている.著者らは,全身麻酔下に生検用ファイバーガストロスコープを十二指腸下行部に挿入することに成功した7)8)9)10).さらに生検用のみでなく,診断用ファイバーガストロスコープを用いた,十二指腸ファイバースコピーを検討した.
各種ファイバーガストロスコープによる十二指腸ファイバースコピーの成績について比較検討し,さらに十二指腸ファイバースコピーにあたっての2,3の問題点ならびに,著者らの経験にもとついた,十二指腸ファイバースコープの基本構造を検討したい.
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